(清水)研究室の研究紹介


研究課題


1. 環境ホルモンの環境中の挙動及び生体影響に関する研究

 環境ホルモンによる汚染の問題が深刻になってきているが、我々は酵母を用いるバイオアッセイと機器分析によって、環境中の主要なホルモン様物質の同定と、その発生源および環境中での挙動について研究している。さらに、培養細胞やメダカを用いて環境ホルモンの毒性発現のメカニズムを解明する。

2. 発癌物質の環境中の挙動及び生体影響のメカニズムに関する研究

 発癌物質の挙動および生体影響をDNA損傷および突然変異のレベルで研究している。生体内のDNA損傷を32P-ポストラベル法やLC/ESI/MS/MSによる機器分析等で定量している。また培養細胞の系や、精製した酵素を用いたin vitroの系でDNA損傷がどのような突然変異を引き起こすのかを解析している。また、アオコ(淡水赤潮)の生産する強力な発癌プロモーター(発癌促進物質)である、ミクロシスチンの分析と生体影響に関しても研究している。

3. 硫酸塩還元を用いた難分解性有機物の分解

 嫌気性処理法による都市下水や産業廃水の処理技術を開発しているが、有機物の嫌気性分解の過程において、とくに有機物濃度に比べて硫酸塩濃度が高い場合、硫酸塩還元菌が有機物分解に重要な役割を果たすことが明らかになった。現在、硫酸塩還元菌を効果的に利用する技術として、埋め立て地における硫酸塩還元によるセルロースおよびリグニン等の難分解性有機物の分解特性を究明することを目的とし、理論的および実験研究を行っている。

4. 微量汚染物質の環境中での挙動と運命予測

 環境中における微量汚染物質の運命予測およびこれらの物質が環境に与える影響を予測・評価するために、様々な物理・化学・生物学的経路を含んだ数学モデルの開発・構築を実施している。また、数学モデルに必要なパラメータを実験室内において回分式、連続式に測定している。現在は、特に地中および湖沼・河川における難分解性勇気汚染物質に焦点を絞って研究を実施している。