環境保全センターは，研究活動に由来する有機，無機の液体廃棄物の安定化プラントを運営し，整備している。有機廃液は高速ロータリーバーナーを備えた焼却炉で，また無機廃液はフェライト処理により処理している。フェライト処理を行う場合，それぞれの元素の除去効率とその溶出挙動が非常に重要である。そのためにそれらに影響を及ぼす強磁性スラッジの磁化強度（飽和磁化）や廃棄物中の重金属の濃度に関して研究を行っている。

　廃棄物の削減や，よりよいリサイクルの手法を探すため，家庭ごみの細組成に関する調査研究を行っている。プラスチック容器や乾電池などの問題となる廃棄物の評価，処理の手法を研究している。焼却灰などの廃棄物処理残渣は，酸性条件化やアルカリ条件下では鉛やカドミウムに代表されるような有害重金属類が高濃度で溶出する可能性があることが示されてきている。

　ポリ塩化ダイベンゾダイオキシンやフラン（PCDD/DFs），ポリ塩化ビフェニル（PCBs）などの残留性微量有機物質（POPs）は，環境中でさまざまな媒体を通じて残留性を示し，生体により生物濃縮される。これらの環境中での挙動の調査や，化学物質の処理段階での熱的挙動を，実験室や試験規模の焼却プラントで分析している。さらに"Clean, Cycle, Control"をキーワードとして，階層的に有害廃棄物を適正に管理することを提案している。

　地球環境問題と人間のライフスタイルには密接な関係がある。そのため人間活動による環境影響を減少させるためには，定量的な指標が必要である。包装廃棄物問題や，都市ごみの処理工程に対して，エネルギー分析やライフスタイル分析を適用し，CO2による地球温暖化の影響や，有害物質による環境影響について研究している。